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組合施行市街地再開発事業における業務代行モデル契約に関する解説

平成8年7月22日

(社)全国市街地再開発協会

(1)

市街地再開発事業において、民間事業者の能力を活用して事業の円滑な推進を図るためには、市街地再開発事業の施工者又は施行予定者(事業認可前の地方公共団体、住宅・都市整備公団等若しくは地方住宅供給公社又は所有権若しくは借地権を有する者の3分の2以上の参加を得ている準備組織をいう。)からの委託に基づき、当該事業の推進に関する業務を民間事業者が代行する方式(業務代行方式)の活用が有効であると考えられる。

(2)

市街地再開発事業における業務代行方式は、受託者の業務に建築等工事施工業務を含まず、自ら保留床を取得する義務を負わずに事業の推進に関する業務の相当部分を代行する一般業務代行と、建築等工事施工業務を含み、最終的には自ら保留床を取得する義務を負う特定業務代行の二種に区分することができる。

(3)

本モデル契約は、市街地再開発組合が施行者となり、又は、施行者となることを予定して準備組合(所有権若しくは借地権を有する者の3分の2以上の参加を得ている準備組織をいう。)が事業を推進している市街地再開発事業における業務代行契約の形式及び内容についてより広く関係者に紹介することを主たる目的として作成されたものである。したがって、現在広く各地で行われているような事業協力者等の多様な形態を否定するものではない。本モデル契約を基礎として、市街地再開発組合又は準備組合、その他の施行者又は施行予定者(以下「施行者等」という。)及び民間事業者の個別の事情に配慮して創意工夫を加えた契約締結が望まれる。

(4)

本モデル契約は、一般業務代行と特定業務代行について、準備組合の段階で契約するものについて示していることから、本組合設立時には準備組合時の契約を承継する構成を採用した。

(5)

本モデル契約は準備組合段階における業務を想定して作成したが、一般業務代行と特定業務代行では、業務内容で建築等工事施工、保留床の最終取得義務以外は両方式を共通で使用できる。なおモデル契約中の「_」内の文言は、特定業務代行で使用するものであり、適宜使い分けを行うこととする。

(6)

業務代行者は、事業の推進に必要な専門知識、資金力等を有する者とし、代行業務の内容に応じて、その推進に必要な能力を有する民間事業者又はその共同事業体とする。 この場合、再開発プランナー等の資格を有する専門家の活用を図ることが望ましい。

(7)

業務代行者の選定は、施行者等において、発注の透明性、競争性、客観性に留意しつつ、原則として一般業務代行については公募型プロポーザル方式により、また、特定業務代行については、事業提案競技方式により行うものとする。また、一般業務代行から特定業務代行へ変更する場合には、改めて代行者の決定手続を行う。

 ・ 公募型プロポーザル方式・・・ 企業の受注意欲の提示と簡易な技術資料の提出を求め、これらの中から最も優れた提案を選択する方式
 ・ 事業提案競技方式・・・ 計画案に関して事業採算、工事施工、管理運営等の事業計画の提案を求め、これらの中から最も優れた提案を選択する方式

第1条(委託及び受託)関係

この条は、市街地再開発組合等又は準備組合(以下「組合等」という。)及び業務代行者の委託・受託関係の根拠規定である。

第2条(甲及び乙の協力等)関係

業務代行者が組合等の意思決定機関の決定に従わなければならないのはもちろんのことであるが、組合等も、業務代行者と一体になって事業を進めていくことを十分認識し、信義に反するような決定や要求を行うことは認められない。また、関係権利者への対応、官公署との調整などについても業務代行者と組合等が緊密な連携を保ちつつ相互に協力していく必要がある。この条はその確認規定である。

第3条(地方公共団体の指導)関係

組合と地方公共団体との関係については、都市再開発法(昭和44年法律第38号。以下「法」という。)に次のような規定がある。

(1)

組合を設立しようとする者は都道府県知事及び市町村長に対し、組合は市町村長に対し、第一種市街地再開発事業の施行の準備又は施行のために、それぞれ市街地再開発事業に関し専門的知識を有する職員の技術的援助を求めることができる。(法第129条)

(2)

都道府県知事及び市町村長は組合に対し、報告若しくは資料の提出を求め、又は勧告、助言若しくは援助をすることができる。(法第124条第1項)

(3)

都道府県知事は、組合又に対し、市街地再開発事業の施行の促進を図るため必要な措置を命ずることができる。(法第124条第3項)

(4)

都道府県知事は組合に対して監督権限を有する。(法第125条)

(5)

都道府県知事は、組合の事業の継続が困難となるおそれがある場合において、監督処分によつては事業遂行の確保を図ることができないときは、事業代行の開始を決定することができる。(法第112条)

これらを根拠にして行われる地方公共団体の組合等への指導は、事業をリードする業務代行者に対しても実質的に及ぶものとしなければその効果が期待できないとともに、組合等にとっても業務代行者には地方公共団体の指導が及ばず常に組合等が業務代行者と地方公共団体ととの間に立たねばならないとすれば、組合等の負担は軽減されない。

この意味から、業務代行者に対して地方公共団体の指導権限が実質的に及ぶようにすることを組合等との契約に明記することとしたものである。

第4条(業務内容)関係

この条は、市街地再開発組合等又は準備組合(以下「組合等」という。)及び業務代行者の委託・受託関係の根拠規定である。

(1)

一般業務代行は、次のような代行業務のうち、建築等工事施工業務を除いた業務の中から、地区の実情、進捗状況等を勘案し、さらには必要に応じ一層詳細な業務区分を設定し選択する。なお、次に明記されていない業務であっても、代行業務として必要な場合にはその内容について具体的に記述する。

[1] 組合等事務局業務
(事務局員の派遣、事務局事務等)
[2] コーディネーター業務
(組合設立・解散等業務、事業推進活動、資金計画、管理運営計画、権利者対応業務、権利変換計画等)
[3] 調査設計計画業務
(調査・測量、基本計画等、施設建築物・公共施設等設計、商業等施設設計等)
[4] 工事管理業務
[5] 工事施工業務
(解体・整地、仮設店舗建設、施設建築物・公共施設工事等)

(2)

特定業務代行の場合、建築等工事施工が代行業務に含まれることとなり、本モデルのような業務代行契約は、建設業法(昭和24年法律第100号)上は建築工事の請負契約であるとみなされ建設業法の適用を受けることとなる。(同法24条)。したがって、特定業務代行については、建設業の許可を有する事業者又はそれを含む共同企業体である必要があるとともに、各工事について同法の趣旨に基づき、請負の詳細に関する契約を別途締結することが必要となる。

(3)

代替地のあっせん等の転出者への対応は、事業推進上重要な要素である事から第2項を設け、事業の推進を意図した。具体の内容、金額等については、業務代行契約時においては想定し難く、必要に応じ別途契約を締結することとなる。

第5条(委託契約金)関係

(1)

第4条の業務の内容項目毎に記入する。
初動期段階の各種調査、組合等事務局業務、コーディネーター業務、基本設計に要するものが大きな支出費用であろう。

(2)

乙への委託金については、委託業務が国庫補助対象事業となることが想定されることから、本モデル契約では、委託内容が完了したものについては、甲から乙へ支払うという構成を採用した。

第6条(資金確保の援助)関係

資金調達能力が必ずしも十分でない組合等に対し、業務代行者が資金的な支援を行うことは業務代行制度の主要な目的の一つであり、本モデル契約においては、業務代行者に対し資金確保の援助を義務付けている。

資金確保の援助については、公的資金・補助金の確保、資金のあっせん及び債務保証等が考えられるが、保留床を処分するまでの間、業務代行者が組合等に対し直接資金の貸し付けを行うことは事業推進の確実性を高める一つの方法である。その場合には、本モデル契約第6条を次の二条に差し替えることとなる。

(借入金)

第〇条

甲は、委託契約金の支払のために、乙から年利〇〇パーセントで金(〇〇円)を借り入れるものとし、乙は当該借入金を甲に貸し付けるものとする。

乙は、前項の借入金の額の範囲内において甲が前条第2項により委託契約金を支払うべき時期に必要な資金を貸し付けるものとし、甲は、その借入金を持って乙が請求する委託契約金を支払うものとする。

甲及び乙は、前条第3項に基づき委託契約金の額が変更されたときには、協議のうえ、その変更の範囲内で前項の借入金の額を変更することができるものとする。

(借入金の弁済)

第〇条

甲は、保留床の売買代金をもって前条の借入金の元金及びその利息の合計額を弁済するものとする。

なお、(社)全国市街地再開発協会では、銀行その他の金融機関からの借入れを行う準備組合等に対し組合再開発促進基金に基づく債務保証業務を行っており、その活用が望まれる。

第7条(保留床の処分等)関係

保留床の処分は、再開発事業の成否を決定付けるものであり、乙は誠意を持って処分先の確保に努めることとし、その取扱いを下記のとおりとした。

[1]

一般業務代行では、最終的に未処分保留床が発生したとしてもその取得義務は無いが、特定業務代行にあっては、最終的に未処分保留床が発生した場合には、当該保留床の取得を義務付けた。

[2]

特定業務代行においては、最終的に保留床の取得を義務付けているので、別途甲乙間で保留床についての売買契約の締結を行うこととなる。

[3]

特定分譲による場合を除き、保留床の処分に当たっては公募をする必要がある。ただし、法第110条による場合はこの限りではない。

第8条(入札への参加)関係

一般業務代行者が建築等工事施工を希望する場合において、入札の適正が確保されている限りにおいては、入札への参画の門戸が閉ざされないよう配慮すべきであると考えられる。適正な入札が行える条件とは、一般業務代行者又はその関連法人が当該建築等工事の実施設計業務及び積算業務を代行していないこととする。なお、特定業務代行は建築等工事施工業務を含んでいるので、その契約にはこの条は適用しないものとする。

第9条(受託者の義務)関係

業務代行者は委託契約の受託者であることから、民法上の委任において受託者が負う善良な管理者として注意義務を当然に負う事となる。この条はその確認規定である。

第10条(受託者の報告義務)関係

業務代行者が委託契約である以上、受託者である業務代行者は、委託者である組合等に対してその求めに応じて随時報告する義務及び業務完了後に報告する義務がある。この条はその確認規定である。

第11条(契約の解除等)関係

(1)

業務代行方式は、組合等と業務代行者とが相互に協力して一体となって進める事業であり、事業完了に向けて両者が誠意を持って契約を履行しなければならない。

ただし、やむを得ない事情がある場合、組合設立前において、契約を解除することができるものとした。組合設立後は、組合は市街地再開発事業の施工者としての位置付けを付与された公法人であり、事業の公共性及び事業継続が困難となった場合の権利者の権利保護の観点から、正当な理由の無い一方的な本契約の解除はその影響の大きさからできないものとした。

(2)

組合設立前に本契約が解除された場合の費用の取扱いについては、業務代行者選定時に解除等の条件をあらかじめ提案を受けたり又は設定しておくことが望ましい。

第12条(契約の有効期限)関係

本契約の有効期限は、組合解散までとするが、準備組合から本組合への移行期で事業進捗にあわせて本契約に基づく「変更契約」等を締結することが事業の性格上のぞましいと考えられる。

第13条(地位の承継)関係

本契約により生じた権利・義務は、甲が都道府県知事の認可により設立する市街地再開発組合に承継されることを明記した。

第14条(施設建築物の管理運営等)関係

用途の複合、権利床・保留床の輻輳等複雑な構造を持つ再開発ビルは、ビル全体としての機能を十全に発揮する為には、竣工後の適切な管理運営及び建物の維持管理が特に重要である。業務代行者がビルの管理運営にノウハウを有する場合には、その能力を活用し、組合等と業務代行者が十分に協議したうえで、竣工後の施設建築物等のビル管理運営体制を定めることを規定している。

第15条(契約外事項の取扱い)関係

業務代行契約は、委託の内容がかなり包括的なものとなる性格を有する契約であり、その詳細についての取扱いを定める必要が生じた場合においては、別途組合等と業務代行者とが十分協議する旨を確認する規定である。

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